鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
甘い夜
晩御飯を作る約束だったので、マンションに帰る前にスーパーに寄ってもらった。
ランチは豪華なフルコースだったので、晩御飯は和食にした。
ダイニングテーブルに白いご飯、煮魚、煮物、お味噌汁という、なんとも質素なラインナップ。
孝太郎さんもあまりお腹は空いてないらしく、ちょうどいいメニューのようで、料理ひとつひとつに美味しいと言ってもらえて、ホッと胸を撫で下ろした。
洗い物を済ませてリビングに行くと、孝太郎さんはソファーに座って仕事をしていた。
テーブルの上にはノートパソコン、書類、たくさんのファイルが積み上がっている。
真剣な表情は会社で見る鬼課長そのもの。
「なにかお手伝いしましょうか?」
休日にもかかわらず、こうして家でも仕事をするくらい忙しいようだ。
「いや、大丈夫だ。晩御飯うまかった。片づけまでしてくれてありがとな」
「今日のデート楽しかったです。こちらこそありがとうございます」
「そうか。良かった」
優しく頬を撫でられた。
「孝太郎さん?」
「毎日晩御飯作ってもらいたいもんだな」
「私、家政婦じゃないですよ」
「なに言ってるんだ」
「痛いです」
またしてもデコピンされてしまった。
変なこと言ったかな。