桜樺 -ouka-
秘密
瞳は桜の木をジッと見つめると、目を瞑って大きく深呼吸した。
『瞳?』
「祐にずっと秘密にしてたことがある」
『…秘密の一つや二つあったって気にしねぇよ』
「…………私、寿命が限られてるの」
『………冗談だろ?笑えねぇな』
瞳が冗談なんてつく人じゃないってことはわかっていた。ましてやこんな空気の中で。
けど、そう言わずにはいられなかった。
急に押し黙る瞳がムカついた。
いや、瞳にムカついたんじゃない。
突然突きつけられた受け入れ難い現実にムカついたんだ。
『おい…!!冗談だって言ってくれよ!!』
「黙っててごめん…」
俺はその言葉に絶望し、目を見開いた。