桜樺 -ouka-
「それともうひとつ…死ぬ理由でもある最大の秘密」
聞きたくない。けど、聞かなくてはいけない気がした。
「私ね、一度死んでる」
『……は?』
「両親が死んだの…事故じゃなくて、通り魔にあったの」
『通り魔……?』
「あの日、私達はあの公園に来てた。花見にね。今でも覚えてる。楽しかった……。
そこに、狂った男が私に向かってナイフを振り上げた。私を助けようとしたお父さんは即死、お母さんも男を止めようと立ち向かって死に、私も……」
『お前は…生きてるじゃねぇかよ……』
「私が刺されてから2時間はまだ息があった。苦しくて何度ももがいた。助けを呼びたくても声が出なくて……
そんな中で私が最後に見たのは、ピンク色じゃなく、血のように真っ赤な色をした桜の木だった」