桜樺 -ouka-


「ごめん……それくらいしか知らないの。何故生き返ったのか、能力がどんなものなのかもわからない…」





『ならなんで死ぬってわかんだよ』





瞳は胸に手を当てて言った。






「わかるわよ……自分の事だもの」






『そっか……』





「もうこんな時間。私もう行かなくちゃ」





『っ!!おい……』





「?」





『また明日……ここで会えねぇか?』





「うん。じゃあ……またこの時間…いいかしら」





『おう』





「また明日」





『また明日』





彼女は少し手を上げると、丘を降りていった。





“また明日”





この時代に来てから、この何気ない言葉がとても、特別に聞こえた。


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