桜樺 -ouka-



部屋に戻り、部屋の隅で丸くなった。





ズキン…





『っ』





く…苦しい…まるで心臓をわし掴みされたような…。





次第に視界が歪んできて、喉の奥から鉄の味がした。






『う゛っ』





口からこみ上げてくるものを手で抑えた。





ベチャッ





手についたのは赤い血。





『な…んで??』





この前の動悸といい、 この血…もしかして私は死ぬの?





『ふっ……ふふ…なんだ、私死ぬんだ。


















良かった』





運命ってどこまでも残酷なのね。





私だけがこんな運命を背負って。みんなは私を置いていく。一人取り残されて無様に死んで。





こんなんだったら生まれて来なければよかった。



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