桜樺 -ouka-


私はそのまま屯所を抜け出した。





お父さんから貰い、そしてお父さんとお母さんを殺めた刀だけを持って…。












────



『はぁはぁ……』





やっぱり私が来るのはここ、桜の丘。
そして桜の木を見上げて言った。





『帰して……帰してよ!!こんな所に居たら大切なものが出来てしまう。ううん、もう出来た。そんなもの守れないのに。壊すばかりなのに…!!だったら何も無い私のいた時代がいい!お願い……』





そんな私の叫びにも、桜は答えなかった。






『う゛っうぅ……うわぁあぁぁあ』





溢れる怒りと悲しみが混ざりあって今にでも私の心は壊れてしまいそうだ。

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