桜樺 -ouka-
扉を開けた瞬間、生臭く気持ち悪いほど生ぬるい空気が漏れてきた。
『う゛……』
そこには、2階から逆さ吊りにさせられた古高の姿があった。私を見ようともしない。相当土方さんに絞られたようだ。
『古高さん』
「…………お前…ふっ。俺は絶対口を割らない」
『言わなくていいです』
「は?」
すると、私は古高の耳元まで来ると、小さい声で囁くように言った。
『風の強い日、御所に放火、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王を幽閉、一橋慶喜、松平容保らを暗殺、孝明天皇を長州へ連れ去る…でしたっけ?』
話すうちに古高の顔がどんどん青ざめていくのがわかった。
「なっ!!お前、なんでそれを。まさか…」
『私は長州の者などではありません。新選組女中です。それより先程言った計画で合っていますよね?』