桜樺 -ouka-
side
「土方さぁん」
「総司か。入れ」
「土方さん、あの子が目を覚ましましたよ」
「ふうん。で」
「名前は鈴木瞳ちゃん。
間者ではないと主張していましたよ。
まぁ僕もあんな小柄で、か弱そうな子に間者なんて仕事が務まるとも思えませんし。なにより、嘘をついているような顔じゃありませんでした。
それと、あの妙な着物は異国の人に譲り受けたそうでーす」
「そうか、ならいい。あいつの処分については明日決める。今日はあの部屋で休ませておけ」
「はぁい」