桜樺 -ouka-
────祐side────






今日は瞳が試合を見に来る!!
めっちゃ楽しみ!
…楽しみなんだけど、心配なこともある。






その時、ちょうど瞳が体育館の扉から顔を出した。





それに気づいたバスケ部の男子達は耳まで赤くしてただ一人、瞳を見つめていた。





ほら。これがいっちばん心配なところなんだよ。





あいつはなんだって出来る。
剣道なんか全国優勝3連覇してるし、頭脳も超優秀、学校イチの天才美少女なんて言われてる。





そんな瞳を男が放って置くはずがなく、この有様だ。





それなのに瞳の奴は全くの無自覚で、自分にはなんの取り柄も無いだなんてほざきやがって。





俺は小さい頃からずっとあいつを見てきた。
そしていつの間にかどうしようもないくらい好きになっていたんだ。





でも告る勇気が無い。
告って振られたら立ち直る勇気が俺にあるとは思えない。
それに、この良好な関係がどうなるか…。
それが一番怖いんだ。


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