桜樺 -ouka-
女中の仕事にも慣れて来て、早2週間。
いつものように街へ買い出しに行くと、角を曲がった所で走ってきた人とぶつかってしまった。
『あっ……ごめんなさい!!大丈夫ですか?!』
「すまん!わしが急いでいたばかりに…怪我はしてんか?!」
『大丈夫です』
「にしても………べっぴんさんじゃのぅ」
頬を赤らめて顎のヒゲを触るこの人は酔ってるのかと苦笑を浮かべた。
『お急ぎであったのでは?』
「あっ!!すまぬ!ではな!」
手をヒラヒラさせながらまた早足でどこかへ向かう彼は、普通の人とは少し雰囲気が違う気がした。
彼を取り巻くオーラというか……。