桜樺 -ouka-



八木邸の女中となるわけで。今までの生活と何ら変わりはないらしい。





部屋で荷物をまとめていると、襖の向こうに気配を感じた。





「僕だけど、少しいい?」





沖田さんだ。





『あ、えっと、うん。いいよ』





「失礼します…ってあれ?何その荷物。」





『明日から八木邸へ行くことになったのよ』





「八木邸…?なんで?」





『芹沢さんの行動を知るために』





「芹沢さんの……そうか、女中である瞳ちゃんの方が動きやすいのか」





『うん』





「あの人、相当な横暴者だから気をつけてね…何かあったらすぐ帰ってきてよ」




そう言う沖田さんの顔は心做しか、寂しげだった。





『わかった』


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