桜樺 -ouka-
八木邸へ
そして翌朝、私は八木邸へと向かった。
私が行く事はもう芹沢さんに伝わってるらしいんだけど、居ないのよね。
と、縁側には美人の女性が花に水をあげていた。
彼女は私に気づき、にこやかな笑を見せた。
「あら、あんさんが土方はんの言ってた女中?」
『はい。女中の鈴木瞳と申します。これからよろしくお願いします』
「可愛らしい子やな〜。うちは梅。お梅〜呼んでくれてかましまへん。女同士、仲良くやっていきまひょ」
この人が芹沢さんの愛人のお梅さんか。
『はい!』
お梅さんに教えて貰った女中の仕事は、向こうでやってた内容とさほど変わりはなかった。
早速仕事に取り掛かった。
まずは掃除、洗濯。昼餉の支度もやり始めた。