桜樺 -ouka-



最初に来たのは呉服屋。





色とりどりの着物や布が沢山並べられていた。





お梅さんは綺麗で明るくて優しい、私にとって憧れの人だ。





そんな事を考えていると、ふと視界の片隅に黒の布に真っ赤な椿が描かれた着物がうつった。





『これ………』





この椿は、暗闇でも美しく咲いている、まるでお梅さんのようだった。





「おぉ!美しい着物じゃのぅ!!」





『これがいいと思います。お梅さんのように綺麗…』





「これにしよう!」





生地からして相当な値段の物だったため、芹沢さんは無理矢理でも持って行こうとするのかと思ったけど、意外と自払だった。





「そろそろお腹の虫がないていることじゃ。どうだ、飯でも食わんか」





『是非』


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