桜樺 -ouka-



『芹沢さんがよくここにいらっしゃるとお聞きして……芹沢さんはどんな方ですか?』





「………酷な方だ。あいつはうちのもんを盗んでいったり、金をくれないと怒鳴り散らすわ、殴られるわ…」





そういえば、この男性、頬に最近負ったような傷跡が残っていた。






「悪いが、俺はあまり好かないな」






『そうですか……ありがとうございます。では』






「あぁ。またな」






それからも情報収集に、町人にお父さんについて聞いてみるが、ほとんど嫌味を吐いていた。




そんなに悪い人には見えないのだけれど…。





八木邸へ向かう途中にある、壬生寺からなにやら子供の声と、お父さんの声が聞こえてきた。


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