桜樺 -ouka-


息を潜めて物陰から様子を伺うと、そこにはさっき聞かされた“芹沢さん”とは全く違う……私の思い描くお父さんがいたのだ。





「鴨!!おんぶ!!」





か、かも……。





けど、お父さんはひとつも嫌な顔をせず、その子供を抱き上げたのだ。





「よっこらせ!お、大きくなったのう!!」





「僕もうすぐ鴨より背高くなっちゃうから!」





「ははは…楽しみじゃのぅ」





「あたしもおんぶおんぶー!」





「待て待て〜、順番じゃよ」





私の目の前に映る芹沢鴨…。





これ程まで子供にも優しく、人を愛し、新選組を愛する者が……なぜ、あらゆる問題を起こすのだろうか。

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