桜樺 -ouka-



襖から顔を出したのは、着物を着て、歳は30くらいの女だった。






『あの……ここはどこですか』






「ここはうちの家。あんたが道端で倒れてたから連れてきたの」






『それはありがとうございます』






「なんであんな所に倒れてたの?」






『俺は公園にいて………』






「こうえん??何?それ」






『え………?』






公園を知らない奴がいたとはな…。






『いや、なんでもないです…』





説明めんどいじゃん。





「そう。まぁ、京の夏は暑いからね、熱射病でしょ」






確かに、今日は暑い。






「あんた、なんか変わった着物を着てたけどお侍さんじゃないの?」






『え……侍?』

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