美魔女オネェに拾われたなら
席に戻ると入れ違いにアカリも食べ物を取りに行き、全員席に揃ったところで


「いただきます!」


そうして3人で食べ始めた。

リーズナブルな価格の割に味はしっかりしてて美味しくてどんどん食べていたら、


「夏美、ソース飛んでるわよ。」


そうクスッと笑いながら言って、隣のあっちゃんがナプキンで拭いてくれる。


子どもみたいなことしちゃったと恥ずかしくなって、少し俯くと、


「なっちゃん、パスタやピザまだ食べたいなら取ってくるわよ?私のセレクトで良いかしら?」


そう前に座ったさっちゃんが聞いてくれるので


「うん!お願いします!ここ美味しいね!」


お腹も満たされ始めてすっかり落ち着いた私は、満面の笑みで言う。


「あー、もう!ウチの子は素直で可愛い!」


そう言って二人に頭を撫でられる。


「じゃあ取ってくるわね!」

そう言ってお皿を持ってさっちゃんが行ったのでアイスティーを飲んで一心地ついてると、


「明日からはビシバシと働いてもらうからね?覚悟はできてる?」


そう少し真剣な顔して言うあっちゃんに


「はい、よろしくお願いします。社長。」


そう返事をした私に少し顔を顰めて、


「夏美はあっちゃんで良いわ。そう呼んでて。職場でも家でも」


そう言って頬を撫でるあっちゃんに、少し照れながら言葉を返した。


「でも公私混同・・・」


「良いのよ!私が許してるんだから。」


そう微笑む表情はやっぱり艶やかで妖艶。
美魔女オネェ恐るべし。


「分かった。そう言うなら、あっちゃんって呼ぶね?」

「えぇ、そうしてちょうだい。」


話がつく頃にさっちゃんがお皿を両手に戻って来てくれた。


「さっちゃん、ありがとう!」


そうして、その食事は終始和やかに、楽しく美味しく食べることが出来た。

夏美にとってこれがプライベートでの初めての人とのお出かけに外食だった。
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