美魔女オネェに拾われたなら
準備も済んだので、三人で最上階ペントハウスから二つ下の事務所に移動した。

鍵は既に誰かが開けたのか開いていた。


「智子さーん、おはよう。お待ちかねの智子さんの引き継ぎ要員連れてきたわよ!」


そう事務所内に通る少し低いが綺麗な声が響くと


「はいはい!あら、今朝の早い出勤はそのせいね!


そう言いながら出てきたのは五十代くらいの女性だ。


「あらまぁ!モデルさんで通りそうなくらい綺麗な子だこと」


そう話す姿は親しみやすい、大らかさのある女性。

「初めまして、大谷智子と言います。ここの事務と経理をやってるのよ。経理は難しいだろうから週2で私が来てやることになってるの。その他の事務処理をお願いしたくてね」

にこにこと話す智子さんはお仕事もこなす立派なお母さんって感じだ。
バリバリではなく、そつなくサッとこなしてく感じ。
テキパキとした部分もある、大らかなお母さん。
そんな感じがした。


「三郷夏美と言います。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします」

そう頭を下げた。


「智子さん、なっちゃんをよろしくね!」


そう、さっちゃんが言うと


「あらやだ、さっちゃんがお母さんみたいね?」

そうにこにこ返す智子さんに、


「そう、なっちゃんは私には娘みたいなものよ」


綺麗な笑顔で私の頭を撫でながら智子さんに返してくれた、さっちゃんのその言葉に嬉しくなる。

「さっちゃんの娘ならしっかり預からないとね。よろしくね、夏美ちゃん」

「はい、よろしくお願いします」

そうして、私の仕事一日目がスタートを切った。
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