美魔女オネェに拾われたなら
新たな出会いとともに

女子会の翌日、カラコンを外して初めての出社。


ドキドキしていたけれど、智子さんも他のスタイリストさんやヘアメイクアーティストの方々もすんなり受け入れてくれた。

むしろメイクの方々はコンタクトに気付いていて、カラコンなのも分かっていたと言っていた。
流石はプロである。


そして一様にみんな、この瞳を綺麗だしその方が自然な夏美ちゃんでなにも違和感なんて無いよ!と言ってくれた。


そうしてすっかり自然体で過ごすようになり一ヶ月が経ち、智子さんが今の所は週3回で出勤してくれているが今日は事務所に一人だった。


そこに来客のインターホンが鳴る。
確認するとそれは倉持さんだったのでお通しした。

来るとは聞いてなかったが、多分仕事関連だろう。


「倉持さん、お久しぶりです。今日はどういったご要件でしょうか?あいにく、社長も副社長も席を外しておりまして…」

そう言って応接セットに案内しようとすると、


「いや、今日は書類届けに来ただけだから大丈夫だよ!これ、渡しておいてね?」

と手渡された茶封筒。


「はい、分かりました。確かにお預かりしました」

そう返して、顔を上げると倉持さんがマジマジと私の顔を見て言った。


「夏美ちゃんはこの眼が自然な色だったんだね?」

あ、そう言えばこの状態で会うの初めてだった。

「はい、そうなんです。目立ちますよね?」

首を竦めつつ答えると、意外な答えが返ってきた。


「いや、違うんだ。俺、夏美ちゃんと同じ色の組み合わせの瞳の知り合いがいるものだから…」


その答えに驚いた。

「え?この組み合わせの人が知り合いに居るんですか?」

思わず尋ねると


「あぁ、そうだよ。でもそいつはイギリス人なんだけどね。俺が大学のときに二つ上だったんだが留学してきてて!仲良くなってね。今もやりとりがあるものだから」


「そうなんですか。でもこの珍しい組み合わせが倉持さんの知り合いにも居るなんて、世間は狭いですね!」


そんなふうに話して、その日は何事もなく過ぎていった。
< 48 / 95 >

この作品をシェア

pagetop