美魔女オネェに拾われたなら
思わぬとこから来る嵐、それは一つとは限らない。
そうしてまた、穏やかに仕事をしながら日々を過ごした。
休みの日にはいっちゃんにレンちゃん、たまに由香里なんかも加わって食事会をしたり、あっちゃんさっちゃんと三人で買い物に出かけたり。
そういった日常を、初めて得られた落ち着く私の場所と思える所で過ごすようになり、はじめての夏を迎えようとしていた。
その頃には智子さんも里帰りから娘さんがご自宅に帰り、時短の週5パートに切り替えて勤務してくれるようになった。
事務所でも智子さんと穏やかに仕事をこなす日々だった。
そこに降って湧いた話が飛び込んできた。
「はい、オフィスアカリです。ご要件をお伺いします」
そう電話に出てくれた智子さんが怪訝な顔で応対を始めた。
「そういった質問にはお答え致しかねます。昨今個人情報保護法もございますので。はい。失礼致します」
そう対応して電話を切った智子さんが聞いてきた。
「夏美ちゃん。テレビ局から夏美ちゃんを探してる人がいるって言うのよ。心当たりあるかしら?」
そう聞かれてこの間の日下さんやその前の倉持さんの件もあり、
「可能性は低いかもしれませんが、アカリさんやサチコさんの通ってた大学に居た留学生が、どうも私と同じ瞳のオッドアイらしくて…。日下さん曰くその人が私の母親と知り合ってたみたいなんですよね…。その関連からならあるかも知れないですが。でも何でテレビ局からなんでしょう?」
思わず首を捻ると
「その、探してる人が何とか夏美ちゃんに会いたくて色々つてを頼った結果、テレビ番組の会いたい人探しに応募したそうよ。それで調査でここまで辿り着いたみたい…」
智子さんの説明に納得する。
「業界に近い所で働いてますしね。この目は目立つし。でもなぁ、テレビで探されるとかさすがにちょっと・・・」
そんなお涙頂戴的な再会にはならないと思うし…。
私ドライすぎる?
「夏美ちゃん、とりあえず社長と副社長が戻ったら相談しなさい」
そう言われて頷き、私は仕事に戻った。