美魔女オネェに拾われたなら
「それ、なにかの確信を得た感じですよね?」
倉持さんも同意という表情で
「そうだと思う。それで今日君からこの話を聞いて思い出したことがある。昔エドが言ってたんだよ。この瞳のオッドアイは彼の家系の直系に出ることの多い、印みたいなものだと」
「印、ですか?」
「彼の家系はイギリスでも古くからあるみたいでね。分家もあるような所だ。だからこそある時代から直系子孫にオッドアイが出始めて、その瞳を持つ子を跡継ぎと見なすとされてるそうだ」
「じゃあ、エドさんはその直系で跡継ぎなんですね?」
「そうだよ。だから留学を終えたあとは数回日本に来て居たが、もうここ十年は来ていないね」
なるほど。
イギリス、王室もあるような格式ある国でそれなりの家系の直系跡継ぎ。
留学生で帰国も決まってた。
だからか…。
なんとなく、母の行動理由が分かった気がした。
「分かりました。やはり、私はその方がどれほど望もうとも会う気はありません。それを母が望んでなかった結果が私ですから。だから会う必要が無いんです」
そうきっぱりと言い切る私に
「そうか。夏美ちゃんがそう言うならそれが良いんだろうね。エドは残念がるだろうけれど。大人になった君の意思は尊重されるべきものだから。これからどうするの?」
聞かれた私は
「今日はどこかに泊まって明日帰ります。何だかんだ言っても私の家はあっちゃんとさっちゃんがいる所だから」
そう口にすれば、倉持さんが話したことに再び私は止まる。
「それにしても森口もなんでの乗り込んだかな。昔の関係でもチラつかせたか?」
「え?昔の関係?」
呟かれた言葉が気になり聞き返すと
「あぁ、夏美ちゃんは何かを感じて逃げてきただろう?察しはつくんじゃないか?」
少し意地の悪い顔の倉持さんに
「そういう事ですか…。だからあんなに親しげだったんですね…」
そう返した時の私はまた冷えていく感情のままだったのだろう。
「あ、俺余計な事したかも、アカリすまん」
その呟く声も遮断して、私は倉持さんの元を去った。