美魔女オネェに拾われたなら

歩きながら考える。

何故家を出てきたのか。


あの女の人のしてきた話しはもちろんだが、あっちゃんとの距離感にもモヤっとしてたのだ。


なんか、取られたような気がした。
寂しかったし、取られたくなかった。


「寂しいから嫌とか、どれだけ子どもなの…」


呟いても誰も答えてくれない。


「これが私の日常だったんだよ…」


そうして、私は歩きながらとりあえず今晩の宿を探す事にした。


「最悪は漫画喫茶でオールかな。出来たらビジネスホテルにでも泊まりたい所だけれど」


そうして駅前のホテルに立ち寄り聞くとシングルは埋まってるがツインなら空いてると言うのでそこに決めた。


あっちゃんとさっちゃんと暮らしてから食費も家賃も入れさせてくれなかったから自動的にお給料が貯まっていた。


なので多少の事は何とかなるので、気にせず今日の宿を確保した。

ここに来る前にコンビニでスマホの充電器も買ったし、食事や飲み物に下着も買った。

こんな事なら明日の服くらいは詰めてくればよかったな。

そう思いつつもシャワーを浴びたあと、ベットにぼふっと横たわる。


私は何でモヤモヤしたの?

その答えは倉持さんの所で得た。

あっちゃんは女の人と付き合ったことがある。
つまり、オネェだけどどっちも大丈夫?な人なのかな。

もしかしたらオネェではないのかな?
それとも目覚める前だったのかな。


すべては私の想像で、定かではない。

でも自分も対象になりえるのだと思い至ったとき…。

あっちゃんの隣には私が居たいと思った…。

そこですんなり理解した。

さっちゃんがお母さんみたいだったから、あっちゃんも同じ好きだと思ってたけれど。

さっちゃんとあっちゃんでは好きの種類が違うみたい。


あんなに綺麗で常に女性の格好しか見てないのに、私はあっちゃんを好きになってたみたいだ。
これはお父さん問題が解決しても、帰りづらいかもしれない。

自覚した想いをうまく隠せる自信が無いし。
森口さんの事もある。
二人並ぶと違和感あれども、年齢では釣り合いが取れているのだ。

私とあっちゃんでは良くて兄妹、姉妹って所だろう…。

全くもって釣り合わないのだった。


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