美魔女オネェに拾われたなら
考えれば考えるだけ、なんだか虚しくなってきた…。
そんな時でも、定期的に鳴るスマホ。
見なくても分かる。
あっちゃんにさっちゃん。
たまにいっちゃんにレンちゃん。
四人が代わる代わる掛けてきている。
心配掛けちゃってるけど…。
つんつんとスマホの隅をつつく。
「こんなゴチャゴチャの気持ちのまま帰れない・・・」
鳴りやんだ隙にSNSを開き、さっちゃんにだけ
『今夜は一人になりたい。ちゃんとホテルに泊まってるから安心して。明日帰ります』
そうメッセージを送信した。
すると今まで鳴ってたスマホがピタッと鳴り止む。
まさに、鶴の一声。
連絡が付いたことに一応の対応かな。
さて、今のうちに。
そうして私はスマホを手に取ると由香里に連絡した。
『もしもし、夏美の方から電話してくるなんて珍しい。何かあった?』
『何かあったのはもう知ってるでしょ?私が家を出て少しした時点で由香里にもあっちゃんかさっちゃんから連絡来たでしょ?』
するとため息つきつつ
『やっぱりか。あの二人は夏美に行動を読まれてたのね。それなら出てすぐに私には連絡しないわね。そして私の所にも来ない』
さすが、大学の四年をほぼ一緒に過ごしただけはある。
私の考え方や行動はあっちゃんやさっちゃんより由香里の方が分かっているみたい。
『このあとさっちゃんに連絡して明日の仕事の休みもらおうと思うの。明日、私園長先生に会いに行くわ。お母さんと最後に話していた人だと思うから。何か知ってると思うの。そこに少なからず答えじゃなくてもヒントはあると思うから…』
再びのため息とともに由香里は、返してくる
『私ですら夏美の出身園は知らないわ。聞かれても答えられない。つまり自分の意思が固まるまで帰らないのね?良いのそれで?夏美はアカリさんが好きでしょう?』
由香里の最後の言葉に飲んでたミネラルウォーターを吹き出すところだった。