美魔女オネェに拾われたなら
久しぶりの故郷、もたらされた事実
そうして私が乗り込んだ、最終の新幹線に乗って辿り着いた先は東京から約2時間半。
観光地でもあるこの地は昼間なら人が溢れているけれど、夜ともなれば静かな自然に囲まれた土地だ。
とりあえず駅近くのビジネスホテルで空いていたシングルルームを取り休む。
まだハイシーズンでは無かったのが幸いした。
持ってきたおにぎりを食べて、再びシャワーを浴びるとその日はベットに入ってぐっすり眠った。
翌日の朝、目的の場所へ行くために。
朝起きて、空いてるプランの都合で付いていた朝食バイキングでご飯を食べて、部屋に戻り少ない荷物をまとめて目指すのは観光地から少し外れた所にある児童養護施設。
私が高校まで過ごした場所だ。
住んでいる子どもたちが登校した頃を見計らって、私は久しぶりにここを尋ねた。
「こんにちは、お久しぶりです。急にお邪魔してすみません。園長先生は今日いらっしゃいますか?」
そう事務受付で声をかけると
「やだ!夏美ちゃんじゃないの!園長先生!夏美ちゃんが!夏美ちゃんが来てますよ!」
そう声を張って園長先生を呼んでくれるのは、昔からここで事務をしている小春さん。
どうやら私を覚えててくれたらしい。
パタパタと音がして入口に懐かしい園長先生が現れた。
「ご無沙汰して申し訳ありません。お久しぶりです園長先生。お元気でしたか?」
そう挨拶すると
「えぇ、えぇ。元気ですよ。夏美ちゃんはいい顔をするようになったのね。会えて嬉しいわ。今日は、何かあったのね?」
突然尋ねれば、そう思うだろう。
「はい、お聞きしたいことが出来たので伺いました」
そう真っ直ぐに先生を見つめて言うと、先生はニッコリと微笑んで
「それなら今日は園長室で話しましょうか」
そう言って歩き出したので、私もあとに続いた。
何となくだけれど、先生には私が何を聞きに来たのか見透かされている気がした。