美魔女オネェに拾われたなら
衝撃的?!怒涛の展開、待っていたのは
なんとか、あのあと電話を切って表参道の美容院兼事務所兼倉庫兼お家なビルに帰るべく、東京駅から地下鉄に乗り、乗り継ぎも挟み帰るべく足を進める。
夕方なのでだいぶ混雑しているが、まだラッシュには早いので耐えられる。
「ホント、都会の電車酷い」
と愚痴を軽く零しつつ。
最寄り駅に着いた。
十五分くらいしか乗ってないのに、一時間働いたくらいの疲労感だ。
「ほんと、都会の電車酷い」
と愚痴を零しながら改札を抜けると
「だから迎えに行くって言っただろう?」
そう、言いながら目の前に立つ人物。
声に聞き覚えはあれど、いつもと全く違う出で立ちに目が点になってしまった。
ついでに言うなら、口も開いていると思う。
「あー、とりあえず話は後だ!帰るぞ!」
スッキリとした髪型をクシャっと握り崩しながら、そう私に向かって言ったかなりの美形は、私の手を取り歩き出した。
その手はいつも私を引く手と同じ。
声も同じ。
ただし、格好と話し方が一気に変わったんですけれども?!!
え?え?何?なんで?!!
混乱したままどんどんと手を引かれて、あっという間に帰宅する。
下の美容院で仕事していた、いっちゃんにレンちゃんがクスクスと笑ってこっちを見ていた。
そして、事務所に入ると
「なっちゃんおかえり!」
ギューッと豊満な美女のさっちゃんに抱きしめられる。
「さっちゃん、ただいま。心配かけてごめんね」
「良いのよ。アレが悪いもの!」
視線を向けると、それはそれはバツの悪そうな顔のあっちゃんが居る。
「私、今日はイチとレンと飲みに出るから。アキラの話し聞いてあげてね?」
そう、ポンと肩に手を置きつつウィンクまで付けて言ったさっちゃんは
「じゃあ、いってきまーす!」
と元気な声を残して去っていった。
さっちゃん、ここで私を置いてくの?!ねぇ!!!
私はどうしたら良いのかサッパリ分からぬままに、アカリさんだったであろう美形と共に置いていかれた。