美魔女オネェに拾われたなら
親子丼とお味噌汁を食べ終わる頃、先に食べ終えていたあっちゃんが話し始めた。
「まず、昨日今日はどうしてたんだ?」
怒ってもいない、とにかく確認したい。
そんな感じのあっちゃんに
「十八歳まで過ごした養護施設に行ってた。園長先生に会いに。園長先生と私の母親は知り合いだって聞いてたから、父親の事でなにかお母さんから聞いてないかと思って」
「そうだったのか。日帰りできる距離なのか?」
「新幹線で二時間半だから。出来ない距離じゃないよ」
「そうか、それで話は聞けたのか?」
「うん、聞けた。それに、先生が預かってくれてたお母さんからの手紙を貰ってきた」
「なんて書いてあったんだ?」
「私の事とお父さんについてお母さんが知っていた事。あとお父さんが必ず私に会いに来る予告ももれなくついてた…」
そう話すと飲み物を入れに立ち、すぐに戻ってきたあっちゃん。
その手にはコーヒーとココア
ココアの方を受け取り飲む。
「それで、夏美はどうするんだ?」
「なんか、避けようもなく会いに来るみたいにお母さんが、手紙で断言してたの。だから仕方ないかなって。会うだけ会ってみるよ。それでこの手紙を読ませてあげるつもり。だってこれさ、ある意味お母さんからお父さんへのラブレターみたいなんだもん。上手いこと書くよね?読んでみて」
そうして渡した手紙をあっちゃんは読むと
「確かに一部はエドへのラブレターだな。読んだらエドは大号泣だ。それくらいエドは、夏美のお母さんを愛してたよ」
「そっか、あっちゃんはお父さんを知ってるんだったね」
「あぁ、知ってる。コージやサチの方が仲が良かったからもっと知ってる。今度聞いてみたらいい」
髪を撫でながら言われて私はコクンと頷いた。
「それで、あっちゃんの、その...」
聞きたかったことを聞くために、口を開こうとするも上手く言葉に出来ずに濁すと、
「あぁ、これも話さなきゃいけないな」
「自分でも分かってるが、この顔で絶えず女が寄ってくることに嫌気が差してな。サチに相談したら私みたいな振りすれば寄ってこないわよってそのアドバイスを生かしたら、ああなってな」
「それは確かに、寄らないと思う...」
「お陰で過しやすかったが、元々俺はサチとは別でフリだったからな。元に戻すことにした」