美魔女オネェに拾われたなら
攻めに転じた元オネェは最強か?!
その告白のあと、私はなにを言うべきかと固まったあとに、ちゃんと私も好きだと伝えようとしたら…
「夏美、今はまだ言わなくていい。夏美の問題が片付いた時に聞かせて?それまでは俺がとことん夏美を甘やかして、夏美をどんどん俺に気持ちを傾けさせる期間だから」
そう言ったのだ。
それ、私の気持ちに気付いてるよね!?と思ったけれど…。
そう言うのならば思いっきり甘えてやろうと思ってしまったのだった。
そしたら、それは私の想像を遥かに超えてやってきたのだ。
「夏美、おはよう」
その言葉と共に降ってきたのは、おでこへのキス。
今朝は帰ってきたさっちゃんが一緒に居るにも関わらず、である。
「ほら、何固まってんだ?言っとくけど夏美に慣れてほしいから、スキンシップは我慢しないからな。というかこの歳だけど好きな人相手に、我慢はそこまで効かないから」
そうイケボで、すんごい事言い出す美形。
しかも中年って歳に差し掛かってるはずなのに、そんな気配は微塵も無いんだから、もうアレです…
見た目、三十代前半なのだ。
何、この怪物級美形…。
朝っぱらから始まるこの状態に私は生きていけるのかな。
ちょっと起きたばかりなのに魂飛ばしそうになる。
「やーねぇ!いい歳こいて、朝っぱらから人前でいちゃつかないでよ!もー目の毒だわぁ。そんな訳でわたしは近々引っ越すわよ!元々ここ仮眠室にしてただけだし」
とさっちゃんが爆弾投下したのだ。
「え?え?さっちゃんなんで?!」
「だって友人と娘のイチャイチャの間に入るなんて、苦痛でしかないわ。同居したがる姑の気が知れないわね。私は嫌よ。だから夏美、何かあった時はあたしの所が避難所になるから、いつでもいらっしゃーい」
陽気にニヤニヤ笑っていうさっちゃんに
「こら、サチ!お前喧嘩でもして俺が夏美に逃げられるのを前提に話をするな!」
「あら?でもあながち無いとは言えなくなーい?あたしの所なら安心じゃないの!いい避難場所だと思うわよ?」
その言葉に、顎に手を当てあっちゃんが考える。
「それもそうか。って俺は夏美に逃げられるような事はしない!」
我に帰って叫ぶあっちゃん。
「じゃあ人前ではイチャイチャは控えなさいな。このなっちゃんを見なさい。慣れてない初な子には優しく進めなさいよ?」
仲良しさんの早過ぎるやりとりに付いてけないけれども、とりあえずさっちゃんの擁護はありがたかった。