美魔女オネェに拾われたなら
そうして帰宅した翌日出勤して、まずは智子さんに急遽休んだことを謝った。
「夏美ちゃんにとって必要な事だったんでしょ。大丈夫よ。私が急遽の時は夏美ちゃん、よろしくね」
そう優しく言ってくれた。
「はい、ありがとうございます」
私は深く頭を下げた。
そして始めた今日の仕事。
あっちゃんも元の姿のまま仕事しているが、会社の誰も突っ込まない。
オネェな皆様や他の方々もうすうす、気付いていたらしい。
あっちゃんがフリでオネェをしていた事。
そして恋愛対象は異性であることも。
だから元に戻っても驚かないし、そんなみんなには何だかニヤニヤと見られてる感があり、私は少し居心地が悪い中迎えたお昼休憩。
「夏美、お昼にしよう?」
そう言うとサッと腰に腕を回して歩き出すあっちゃんに
「明さん!ここ会社だから!!」
「ん?会社じゃ無ければイイってこと?」
と意地の悪い笑顔をするので。
「知りません!」
と言って先に歩き出すも、コンパスの差ですぐ追いつかれてしまう。
「夏美、可愛い。チュッ」
髪だけど、やめて!ここは日本だよ!!
あまりのことに、もはや金魚みたいに口パクパクになった私にあっちゃんは変わりなく聞いてくる。
「それで、お昼は何が食べたい?」
あっさりと切り替えてくるあっちゃん。
ホント、大人ってずるい…。
「パスタがいい。辛いの食べたい」
「良いよ。じゃあペンネでアラビアータだな」
そうして、食事に上に戻る間も通る廊下のそこかしこでニヤニヤされたのは、言うまでもない。
攻めに転じた元オネェ…。
もしかしてその間に、女心も学んでいたの?
そんな明さんの甘さを含めた行動や言葉に私はスマートについていけていないと思いつつも、それに流されていくのは明さんが好きだから。
確かにどんどん気持ちは加速して、明さんを好きな気持ちは日々増えていた。