美魔女オネェに拾われたなら
さっちゃんが引っ越してから、同居というか、もう同棲なのかな?という状況はさっちゃんがイヤだ!と言うくらいには日々甘かった。
明さんは常にそばに居て私の事が好きだということを隠さないし、職場のみんなは大人だからそこも見守ってくれてるけれど。
私の恥ずかしいという気持ちは慣れるわけもなく。
職場では少しは抑えてくれるようになった。
家の中での三分の二程度ではある。
じゃあ家ではどうかと言うと…。
とことん甘い。
終始くっついては撫でて、キスをして抱きしめてくる。
でも、それも半月も経つとそれが当たり前というか慣れてきたわけで。
人前でさえ無ければ私もそれが嫌な訳では無いので、すっかり明さんになされるがまま。
むしろ、最近は自分から甘えて擦り寄ってるかもしれない…。
くっ付いてないと落ち着かなくなってしまったのだ…
慣れって怖い。
そんな日々を振り返って、食後のお茶飲みながらぼーっとしていると
「夏美、何考えてた?」
そう覗き込んできて、頬にキスを落とす明さんに
「ん?この状況に慣れてすんなり受け入れてる自分を振り返って、ちょっと驚いたというか…、なんというか?」
「まぁ…、慣れるように仕向けたからな」
コーヒー飲みながらニコッと言う明さんに
「ホント、明さんずるい。でも今はこれが無いと落ち着かなくなっちゃったみたい。だから...」
「聞こえない、ハッキリ言って?」
絶対聞こえたのに、たまにこうして意地悪なの。
でも、そういう時って私の言葉を聞きたい時だって分かってるよ。
明さんもこの歳の差を何とかしようと頑張ってる。
私に離れられたくないってのも、嫌って程伝わってるから。
それに気付いてから私は、私を明さんに預けることに決めた。
つまり…
「明さんが隣に居ないと、もう私は落ち着かないの。だからちゃんと責任取ってよね?ずっと一緒に居てくれなきゃ許さないんだから…」
そう言ってくるっと明さんの足の間に収まってた私は振り返って、照れ隠しにぎゅっと抱きついた。
歳の差は埋められない。
けれど最後まで一緒に居たい。
順番が狂うことさえなければ、私がこの人を見送るその時まで。
私はこの人のそばを離れない。
その覚悟が出来たこと。
失えないと思うほど、明さんを想う気持ちが大きくなった事。