美魔女オネェに拾われたなら
そうして、みんなで一息ついてから
「ちょっと待ってて」
そう言って一旦リビングから離れて戻った私の手には、例のお母さんからの手紙。
「それは?」
そう聞く父に、
「あなたが私を探し出した時に、何か私に残されてないかと伝を頼った結果、残されてた母からの手紙。読んでみて」
そう言って手渡した手紙を読むと少し涙ぐんだあとに、微笑んでいる父を見て、やはりお母さんからの手紙を読ませて正解だったと思った。
「とても、麗蘭らしいね。麗蘭は歳のわりにしっかりとしていて、時に冷たい事もあったけれど。それも照れ隠しのものでね。素直には甘えてくれなかったけれど、とても可愛い人だったんだよ。そして、君を一人で産む決断をしてしまうくらいの意志の強さと頑固さもあった。そんな麗蘭を、俺はとても愛していたんだ。それでもその時に頼れるように出来なかった、そんな自分の不出来を責めない日は無かったよ…」
そう話す父は確かに後悔をしていた。
「俺がちゃんと、話していれば。あの時帰国の前に結婚の意思を麗蘭に伝えていたなら…。きっと違った未来があったと思うんだ…」
悲しみの滲む声。
「君にいらぬ苦労をさせた俺が今更と思うかも知れない。でも、唯一愛した麗蘭との間に君が居ることを知った時の気持ちは、言葉に言い表せない程の喜びだったんだ…」
そこで俯きながら話していた顔を上げ、私を見つめて言う
。
「もしも、まだ君に愛する人が居ないのならば共に暮らしてほしいとお願いするつもりだった。でも君はもう...その相手と出会っているね?」
確信の顔で聞かれたその問いに、私も真っ直ぐに見つめて答えた。
「そうよ。だからそれは無理な誘いだわ。私はこの人とずっと一緒に居るって決めたから」
そう言って隣に座る明さんに視線を向けると、微笑んで手を握ってくれた。
それに微笑み返す私を見て、ため息を一つ零した父は
「もっと早く会いに来たらよかったね。そしたら少しは親子の時間が持てたかもしれないのに…。俺はまたタイミングを間違えたんだな」
そう言ったあとはスッキリとした顔をして、私を見つめて言った。
「愛する人と共に居られなくて苦しい思いをした俺が、愛する人と共に居る娘を引き離すなんて出来るわけないだろう?ただ、年に1度必ず日本に来るから。その時は会ってくれると嬉しい」
そう、柔らかく微笑む父に言われたので