美魔女オネェに拾われたなら

それとも、微かに残る記憶と同じ匂いからかな。
私はその一度だけ匂った、その香りを覚えていた。


父はやはり、母が大切に握りしめていたマフラーから香った香水を会った時にも纏っていたから。


私の記憶にも残っている、あの爽やかに香るグリーンノートの匂い。
それは、母が切なくも愛しく微笑む顔と一緒に覚えていた。
母は本当に父を愛していたのだろう…


会ってしまえば、すんなり納得出来るほど認めてしまえたのだし。
仕方ない、父の帰国までは。
この涙脆く優しい、今もって母を愛するお父さんに付き合ってあげよう。

そう腹を括って、その日は私と明さんとさっちゃんと父の4人で有名な中華を食べに行った。

もちろん、そこは父の奢りで。


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