夢を売る少年
第一章 ―逢いたかった―
私には当時付き合っている彼がいました。
1年生の時から付き合っていて、半年が過ぎていました。

私は毎日この教室で、校庭にいる彼の姿を見ながら部活が終わるのを待つんです。

部活が終わった彼がこの教室に走って来てくれるんです、汗を流しながら。


「ごめん、待った?」


毎日のことなのに、毎日彼は同じことを言うんですよ。

だから私も―


「ううん、ここから校庭見てたから全然待ってないよ。」


って返すんです。


帰り道に駅前のマックで寄り道したり、部活が早く終わったときは映画に行ったり。

彼の部活土日も練習あったから帰り道がデートの時間みたいな感じだったんです。

だから放課後、待ちどおしくてしょうがなかった。
今日は早く終わるかな?
今日はどこに行こうかなって。

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