夢を売る少年
目の前の信号の青が点滅し始めた。


「あっ、信号変わっちゃう!早く早く!!」

「恵!ちょっと待てっ…」


私は後ろにいる新吾に声をかけながら信号を渡ろうとしていた。

横から来る車にも気付かずに――――



――――ブブーッ!!



…何が起こったのか分からなかった。

信号を渡ろうとして、いきなりクラクションが鳴って…………


「新吾…?」


傍に…新吾が横たわっていた。


「新吾?新吾!」


私は声を掛ける、それしか出来ないから。


「新吾っ!しんごぉっ!!」

ただ声を掛ける。でも新吾は動かない。


「しんごっ!!…しんごっ!!!!」


嫌な予感がする。返事のない新吾の姿を見て涙が止まらなくなる―


「しんごっ、しんごぉっ…」

アスファルトの地面が赤く染まっていく――




ただ泣くことしか出来なかった――――
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