人の優しさに触れるとは、こういうことかなと感じました。
生きていれば沢山の後悔があって、前に進みたくてもひとりでは進みあぐねてしまうこともある。
けれど、差し出された手を取りあえば向かう先がどこであれ、一歩を踏み出すことができるかもしれない。
長く生きればそれだけぶん頑固になり、意固地になり、この物語のように老人ホームに入るようになれば若かった頃の自由さからは離れてしまうのかもしれない(若者は別の不自由さを感じているかもしれないけれど)。
サックスをきっかけに、後悔から踏み出そうとする二人は夕暮れの優しいオレンジに包まれていたのかな。
目を逸らしたくなるような後悔から、大好きだったサックスの音色を、演奏を、取り戻せますように。
優しくて温かいお話でした。