裏生徒会部+


話を聞いたものの、どうして会えないのか。そして辞めたのか。

その理由に繋がるものがあまりピンとこなかった。

凪さんはアルスさんやリディリアさん、一くんといつきくんのことが好きで…

お仕事も好きになったのに。

そこを自分から急に辞める理由がわからない。


「どうして辞めちゃったの?」

「あの時…一様といつき様を傷つけてしまったからです」

「え?でも凪さんは2人を助けたんだよね?」


凪さんが助けたおかげで2人は怪我もなく、助かった。

だから『傷つけた』というより『助けた』と思うんだけど。

凪さんは目を伏せて首を横に振る。


「私はお二人にご心配をおかけしてしまい、悲しい思いをさせ、傷つけてしまいました」


何度も何度も「ごめんなさい」と謝り、泣きじゃくる2人を見て凪さんは思った。

もしも、自分が気を失わなければ2人に心配をさせることも悲しい思いをさせることはなかったのではないか。

もしも、自分が走り回る2人を止めていれば危険な目に遭わなかったのではないか。

もしも、自分がここで働いていなければこんなことすら起こらなかったのではないか。

もしも………―――――。

「助かったのだから」「ナギのせいではない」「助けてくれた感謝をしたいぐらいだ」

そう周りから何度言われようが、凪さんの頭からは「もしも」という可能性…

そしてなにより自分のせいで傷ついてしまった2人のあの顔が、声が、腕を掴まれた感触が、離れることはなかった。

自分がいる限りまた傷つけてしまう、と。

だから王宮での仕事を辞め、もう会うことのないように日本へと来た。

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