裏生徒会部+
私はソファから立ち上がり、凪さんの元へと歩み寄る。
「私、凪さんのことなんでもそつなくこなしてしまう完璧な人。凄い人だって思ってたけど、1つだけ欠点を見つけた」
「欠点ですか?」
「うん。凪さんは自分に厳しすぎるよ」
「そう…でしょうか」
「そうだよ。凪さんは一歩前に進めた。変わったんだよ」
同じ状況になった時に、凪さんは逃げることなく、2人のために何かしたいと行動した。
きっと凪さんのトラウマへと立ち向かう努力と勇気。それとあの時逃げるという選択をした凪さんがいたからこそ。
「だからあの時、逃げる選択をした凪さんを許してあげようよ」
「それは…」
「もしも。もしもあの時凪さんが逃げ出さなかったら凪さんは変わることはなかったかもしれない」
「もしも…」
「もしも凪さんがいなかったら一くんといつきくんの2人は今の…兄弟のようなとても大切な友人関係にはなっていなかったかもしれない」
「私がいなかったら…」
「もしもで考えられる可能性は悪いことだけじゃないんだよ」
凪さんの両手を包むように握ると、少し驚いたように私と目を合わせた。
「凪さん。自分が傷つくのが嫌なら逃げてもいいんだよ。泣いていいんだよ。もっと自分に優しくしていいんだよ」
「…………」
「凪さんはいつも頑張ってる。頑張りすぎて周りから完璧に見られて、泣く機会なんてなかったでしょ」
「…………」
「いつも頼ってばっかりで、気づけなくてごめんね……ううん。ありがとう、凪さん。私がこうしていられるのは凪さんのおかげだよ」
「………っ…」
「凪さんに出会えて本当に良かった」
凪さんの瞳からぽろぽろと涙が流れる。
何年も、何十年も我慢していたのか…その分が抑えきれなくなったようにとめどなく溢れていた。