裏生徒会部+
ドアのノックが聞こえ、宮井が返事をするとすぐにドアが開けられた。
「あれ?氷室先輩じゃないですか」
「ん?みずきか」
「ゆ、ず、き、です。どうしたんですか?」
「偵察」
「偵察?」
氷室ってことは…つい最近の依頼で、宮井が協力してもらうために会う約束をしていたのだが、ドタキャンをした奴だろう。
まさかこんなすぐに会う機会が訪れるとは。
氷室は部室内を見渡すと、廊下に顔を出した。
「如月。如月はいない」
『それは良かった。それと何度も言うがわかりづれーよ、その呼び方』
次に入って来たのは一。
いつきが教室で待機してもらっていると言っていたし、待ちきれずにいつきを迎えにでも来たのか。
もしくは単に静音に会いに来たのか。
このどちらかだろう。
「それじゃ俺は帰るから」
「おー。31日の約束は忘れんなよ。あといつきには内緒だからな」
「はいはい。鍵は今度渡す。じゃあな、えーっと……いち」
「はじめ、な。惜しいけど」
氷室が部室から出て行くと、一は俺と宮井の前にある依頼者用のソファに座る。
そんな一を見て、あからさまに嫌そうな顔をする宮井。
「先輩であればいっき先輩と出ていますよ。なのでお引き取りください」
「違う違う。俺様は依頼をしに来たんだ」
「いっき先輩に続いて一さんも依頼ですか」
いつきを迎えに来たわけでも、静音に会いに来たわけでもなく…
いつきの次は一も依頼をしに来るとは思いもよらなかった。
一は一度立ち上がり、何かを警戒するようにキョロキョロと廊下を確認すると、またソファに座った。
そして少し前かがみになり、小声で話し始める。
「実はな、2月12日はいつきとナギの誕生日なんだ。で、サプライズで祝おうと思っているんだが」
「そのサプライズを手伝って欲しいってことか?」
「そういうことだ!」
「いっき先輩はわかりますが、どうして凪さんを一さんが祝うんですか?何か関わりでも?」
宮井の質問に答える前に一は1枚の写真を取り出し、テーブルの上に置いた。