裏生徒会部+


静音の言う通り、少しでもヘマをすればあの2人にはバレてしまうだろう。

メイドは雰囲気や見た目から「謎」という言葉が似合う程、ミステリアスな奴だ。

9割方無表情で、淡々と物事を話す。

静音が宮井に監禁された時も、俺がそのことを隠していたことを見抜き、知らぬ間に尾行をしていたこともある。

そして、いつきはまず底知れぬ身体能力があることを思い知らされている。

学校の地下1階から屋上の10階まで階段を駆け上がった時、部活をしている悠でさえ息を切らしていたのだが、いつきは全く息を切らすこともなく平然としていた。

しかも一をおぶっていたのに、だ。

あと勢いよく投げられた小刀の柄をタイミング良くキャッチしたり、それから小刀を持ったカラクリ人形と戦ったり…

今思い返してもあの光景は夢でも見ていたんじゃないかと思うくらいだ。


「一くんも順調に準備を始めてるみたい」


一に連絡をし終えたようで、静音は再び2人に目を向けた。

久しぶりに会ってまともに話すからなのか、あの2人は待ち合わせの場所から動かずにずっと話している。

遠くて会話は全く聞こえず、いつ終わるのかも検討がつかない。


「暫くこのままになりそうね」

「だな。そういや一の言っていたイベントってのは何するか聞いてるか?」

「さぁ…知り合いに頼んだって言うのは聞いたんだけど、何をするのかは私も聞いてないんだよね」


少し不安そうな顔を見せる。

静音も知らないとは…俺もますます不安になってきた。

知り合いに頼んだってことはその知り合いが何かしらをするってことだよな。

その知り合いが上手くやれるといいが…。


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