裏生徒会部+
数十分後。
ようやく会話を終えたようで、いつきとメイドは動き出した。
スーパーから専門店まで様々な場所へと行き、一の誕生日に作る料理の材料であろう食材などを買っていく。
一の言っていたイベントらしきものは今のところ特になく、普通にいつきの買い物が続くだけだ。
「うん、大丈夫だよ。…………今いる場所?えーっと4丁目の…」
そしてそれを一に報告。
そんなこんなで2時間程経った。
静音は一への連絡を終えると、不思議そうな顔をしていた。
「どうした?」
「急に詳しい住所を聞かれたからなんだろうと思って」
立ち止まり、いつきは携帯を見た後、その画面をメイドに見せる。
メイドは頷き、また歩き出した。
少し歩くとレストランの前で止まり、看板と携帯を見比べ、そのまま2人は中へと入って行った。
昼時だから、おそらく昼食を取るために入ったのだろう。
レストランの正面にある店と店の間にすかさず入り、陰に身を隠す。
「そういえばもうお昼か。柊也はお腹空いてない?」
「ああ。大丈夫だけど、お前は?」
「私もまだ大丈夫かな」
いつきとメイドは窓際ではなく、奥側にいるのか姿が見えず、全く様子がわからない。
これは出てくるまでここで待っているしかなさそうだ。
歩いていたから感じなかったものの、じっと立ち止まっているとすぐに体が冷え、寒くなる。
静音は手を擦り合わせ、自分の息で温めているが、赤く悴んだままだ。
「手袋は?」
「慌ててたから忘れちゃって…あはは」
こいつはしっかりしているのやら、抜けているのやら…。
自分のはめている手袋を取ろうとした時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
静音もそれに反応してか、そっと顔を覗かせる。
『ねーねーりっつんまだー?ここどこー?』
『何回も同じこと言うな、うるさい。黙ってろ』
『すまないな。千遊里、律、真夜。手伝ってもらって』
『志穂のお願いならお安い御用だぜ!』
長机を抱えている梅宮 律(ウメミヤ リツ)と栗原 真夜(クリハラ マヤ)。
その隣には段ボール箱を1つずつ持った伊藤 千遊里(イトウ チユリ)と…真夜が『志穂』と言っていたということは笹島 志穂(ササジマ シホ)。
その4人が此方に向かって歩いて来ているのが見えた。