裏生徒会部+
それからというもの、凪さん達2人は水槽の中の魚や、イルカやペンギンなどの動物を見て回り…
お土産でなにかを買うこともなく、水族館を出た。
そして今は一くんの用意したイベントの5つ目の地点に来ている。
結局、どうして水族館に行ったのかという目的は謎のままだ。
ただ2人で楽しみたかっただけなのかな?
「外はやっぱり寒いね」
「そうだな」
先程まで室内にいたせいか、その差もあり、更に寒気は増す。
せめて手を入れやすいポケットのある服を着てくるんだった。
後悔しつつ、冷たくなった手を擦り合わせて温める。
すると、目の前に手袋が差し出された。
「ん」
「ん?」
「寒いんだろ?使え」
「でもそれじゃ柊也が…」
「俺は大丈夫だからいいって」
そうは言っても鼻も耳も赤いし、寒いに決まっている。
私のせいで手まで冷えてしまうのは申し訳ない。
首を横に振り、差し出された手を押し返す。
「ありがと、柊也。でも大丈夫だよ。忘れた私が悪いんだし」
柊也は納得いかない様子で少し固まった後、左手に外した手袋をはめた。
そして私の右手首を掴み、前へと引っ張る。
「え?何?」
黙ったまま、何を始めるのかと思いきや、もう片方の手袋を私の手にはめる。
なにやら周りを気にしている様子を見せ、周囲を見渡し終わると、右手で私の左手を握った。
「えっ…あ、あの……」
「お前冷たすぎ」
目は合わせず、そう呟く。
柊也に握られた左手からじんわりと柊也の体温が伝わってくる。
柊也のおかげ…いや、柊也のせいで私の体温は上昇し、もはや暑いぐらいだ。
ど、どうしようっ!?手汗っ……手汗とか大丈夫かな…!?
手を引かれ、顔を上げると柊也と目が合う。
が、やはりすぐに逸らされてしまった。
「…行くぞ」
「う、うん」
恥ずかしさと嬉しさが顔に出ないように抑え込み、繋がれた手を握り返した。