裏生徒会部+


2月11日。

今、私は戦場にいる。

その敵を至近距離でずっと見続けている。


「浅井さんいつまで見とるねん。明日にならんと固まらへんて」

「久々に登場して料理できるアピールするのはやめて。中西くん」

「えぇっ!?俺そないなこと1ミリもしてないやろ!?」


素早くツッコミをキメてきたのは中西 大貴(ナカニシ ヒロキ)くん。

主にボケよりツッコミを担当する関西弁の男の子だ。

本人は標準語で話せるように関西弁を出来るだけ使わないようにしたいらしいが、まぁご覧の通り全く上手くいっていない。

というよりそのことを忘れてほとんど素で話している。


「それにしても本当に家庭科部だったんだね」

「ほんまやで。信じてへんかったんか?」

「うん。だって何度か家庭科部に来たことあるけど見たことなかったし」

「それはやなぁ…」

「ずーっとサボってたもんなぁ?大貴」

「げっ…唯ちゃん…」


肩に手を置かれ、そう言われてしまい苦い顔をする。

中西くんが「唯ちゃん」と呼んだのは上崎 唯(カミサキ ユイ)くん。

れっきとした男の子だ。

姫路くんと仲が良く、家庭科部の副部長、女の子っぽい名前ということもあり『姫ちゃん・唯ちゃん』コンビとして呼ばれているらしい。

また、姫路くん同様に部活を掛け持ちしていて、上崎くんは剣道部だそうだ。

姫路くんがバスケ部に行っている時は上崎くんが家庭科部へ。

上崎くんが剣道部に行っている時は姫路くんが家庭科へ、と交互に来ている。

そして今日は上崎くんが教えてくれている。

どうして私が家庭科部へと来ているかというと2月14日…バレンタインデーのためだ。


「それにしてもごめんね。私部員じゃないのに…」

「龍司の依頼の礼だし気にすんな。それにこの時期は部員以外もよく来るし」


今から数週間前の1月31日。

サプライズのお祝いが終わり、凪さんと家へと帰っていた時。


「そういえば凪さん達はどうして水族館に行ったの?」

「楽しんで頂こうかと思いまして」

「いつきくんに?いつきくん水族館好きなんだ」

「いえ。いつき様ではなく、静音様と柊也様にですよ」


その答えの意味がわからず、私が首を傾げると凪さんは携帯を取り出した。


< 51 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop