裏生徒会部+
「柊也とお昼を食べるのは初めてだから嬉しいわ♪」
「そして今日で最後な」
「そうね」
珍しく頷く。
いつもなら「どうしてそうなるのよー!」とか言いそうなのに。
栗原は俺の顔を見た後、弁当を広げながら口を開いた。
「もうすぐ卒業だから。私もしんくんも」
「卒業…」
そうだった。
栗原も笹島も3年だから今年度で卒業か。
あと1ヶ月もない。
「あら、柊也寂しいのね?可愛い♡」
「一言も言ってない」
「そんな寂しがり屋さんの柊也にプレゼントがあるの♪」
結局出会ってから一度も人の言うことを聞かず、自分の良いように話を進める栗原。
立ち上がると部室の隅に置いてある小さな冷蔵庫を開け、中から何かを取り出すと戻ってきた。
そしてそのまま此方へと差し出す。
「はい、ハッピーバレンタイン♡」
「あぁ…ありがと」
「えっ」
「なんだよ」
俺が受け取った瞬間、目を大きく開いて驚く。
どこに急に驚く要素があったのかが全くわからず、栗原の様子を窺っていると次はにんまりとなんとも嬉しそうな表情を見せながら座った。
表情がコロコロ変わり過ぎて何を考えているのかわからない。
「まさか本当に柊也が素直に受け取ってくれるとは思わなかったわ。しかもお礼まで言うなんて」
「はぁ…?そんなことで驚いたのか」
「そんなことじゃないわよー!とーってもびっくりだし、なにより嬉しい♡」
「…あっそ」
「やだ。照れてるー可愛いー♡」
「照れてない」
栗原はにやけた表情のままおかずを口へと運ぶ。
「柊也とお昼一緒に食べれるしチョコも受け取ってもらえたし、今日はとーってもいい日ね♪」
「別にチョコならいつでももらうけど」
「ふふふっ。静ちゃんが言ってた通り、柊也はチョコがだーいすきなのね」
「静音が?」
「そうそう。朝会った時に教えてくれたの。それとクッキー貰っちゃった♪」
栗原が鞄から取り出したのは悠と吉野が貰っていたものと全く同じラッピングをされた袋。
どうやら静音は栗原にもあげたらしい。
「あら。なぁにその顔?もしかして…羨ましいの?」
「別に」
「えっ!?それって貰った行為が?それとも相手?静ちゃんだから?」
興味津々といった顔で前のめりになり詰め寄ってくる。
「羨ましいとか言ってないだろ」
「言ったわ。柊也の「別に」は図星の時に言うことだもの。お見通しよ♡」
「…………」
「それで?どっちなの?」
「…………」
「って聞くまでもないわね。ほんと柊也も静ちゃんもわかりやすーい♡」
「…うるさい」
「あっ!ちょっと柊也ー!私まだご飯食べ終わってないのにー!」
栗原は放っておいてさっさと戻ろう。