裏生徒会部+
教室に戻っていると、教室の前でなにやら言い合って騒いでいる2人がいた。
その隣に呆れたように2人を見ていた人物と目が合う。
「あ。一ノ瀬さん」
その声に反応して言い合っていた2人も此方を向く。
3人は今日で既に2度も見覚えのある袋を手に持っていた。
誰から貰った物なのか、おそらく俺が想像している人物で間違いないだろう。
宮井は一の袋を持った手首を掴むと、俺との距離を詰めて自分の物と一の物を目の前に出した。
「いっちー先輩!ぜーったい私のほうが大きいですよね!?」
「何言ってんだよ、俺様のほうがぜってー大きいよな⁉︎」
「なにが」
どうやら先程言い合っていたのは貰ったクッキーの大きさを張り合っていたらしい。ハート型の。
俺が答えるよりも先に溜め息を吐いていつきが口を開いた。
「そもそも若も宮井さんも振られているんですし、そのハート型にはなんの意味もありませんよ」
「「うっ………」」
「ちなみに俺が貰った物のほうがお二人よりも明らかに大きいです」
「「くっ………」」
いつきの容赦ない言葉に2人揃ってわかりやすく落ち込む。
俺からすれば大きさとかはどうでもいい。
型だってなんだろうが関係ない。
それよりも貰っているか貰っていないかが問題だ。
「もう俺は行くからな」
「え、あっ!待ってください!いっちー先輩!これ!」
袖を掴まれ、再び後ろを振り向くと宮井は静音からもらった物ではない小袋を差し出していた。
「いっちー先輩にはお世話になっているので、そのお礼も兼ねてです!受け取ってください!」
「世話してるつもりはないけどな。どうも」
「おい、柚希。いつきとしゅーやには渡しといてなんで俺様にはねーんだよ!?」
「逆にどうして一さんに渡さないといけないんですか?」
渡す気なんて更々ない様子で一に質問を投げ返す。
いつきの手には静音から貰った物と宮井から貰った物の2つがあった。
「ど、どうしてもなにも…ええっと……あ!不公平だ!不公平!」
「はい?不公平?全く理由になっていないんですけど」
「俺様もいつきとしゅーやと同じで柚希の先輩だぞ!」
どうやら話題は変わったがまた言い合いが始まったようだ。
2人を放って教室へと再び足を進めると、それに気づいたいつきは軽く会釈。
俺は軽く手を振り、教室に向かった。