裏生徒会部+
教室に入ってすぐに目に入ったのは机の上に3つもあの小袋を置き、もぐもぐと口を動かす奏十。
俺の視線の先に気づいたのか口角を上げ自慢気な顔を見せる。
「いやぁ、悪いな柊也。お前より俺がモテて」
おそらく奏十は机にある物が誰から貰った物なのを俺が知らないと思っているらしい。
だが、朝からつい先程までもう数回もみた同じ小袋だ。
「静音からだろ」
「なんだ。やっぱ柊也ももう貰ってたのかよ」
知っている=貰っている、か。
貰っていないどころか今日はまだ一度も会ってもいない。
つーか、一達や奏十が貰っているってことはさっき来たってことだよな。
…もっと早く戻ってくるんだった。
奏十は開封した袋から1枚クッキーを取り出し、口へと運ぶ。
あと2つは未開封のままだ。
もしかしてこの2つは…
「おいおい。食いたいなら自分が貰ったやつを食えよな。これは中西と月森にって言われたやつだから」
隣を見ると中西も月森もいなかった。
未開封の2つは中西と月森に渡して欲しいと奏十が預かったらしい。
つまり俺の分はない。
最後の1枚を摘み、口元まで持ってくるとぴたりと手を止めた。
「なんだよその顔は」
「…なんでもねぇよ」
奏十は首を傾げながら最後の1枚を口の中へと放り投げる。
奏十の口の中へと消えていったクッキーから携帯へと目線を移すと、1通のメールが来ていたことに気づいた。
送り主は仁。
『今日の放課後も手伝って欲しい』と想像通りの内容に断る理由もなく返信。
その後数分もしない内に、またメールが届いた。
次の送り主は静音からだ。
『今日は部活に来るよね?』
そんなメールは普段くることはない。
つまりは……いや。あまり考えるのはやめておこう。