この世界は7で終わる
私はルカの隣に身を沈め、そっとその胸元に寄り添う。
「あったかい、」
決して高くはないルカの温度。それでもこの寒い世界で人の体温の有り難みを知った。
ずっとこうしていられれば…と、今日まで幾度となく思いそれを胸の内のそのまた内に閉じ込めてきた。明日からもそれは変わらないのだと思う。
「アトリ、もっとこっち来て。寒い」
「もうくっつけないよルカ」
「…それでもいい、側にいろよ」
それも今更だよ、とクスッと笑えば返事のように「アトリ、」と優しい音が降ってきた。それが死ぬほど嬉しいこと、きっと彼には伝わらない。
ルカの右手が私を包む。
苦しいくらいに力の籠った温もりはーー・・「ルカ…、これ」
私を閉じ込めたまま、彼は私の背中をあやすようにポンポンと回叩く。
「ルカ、」
「おやすみアトリ」
「……おやすみルカ」
ピキッ。
夜、私達を乗せたままーー・・木製のリアカーが何度も鳴いていた。