ティールームの不思議な出来事
「今まで、ありがとう」

 テーブル越しに手を差し出す。

 彼がその手を握り返してきた。

「私ね、あなたと出会えてよかった。楽しい時間をありがとう」

「俺も君に出会えてよかった。こんな終わり方になってしまったけれども。本当にごめ・・・」

「謝らないで。ちゃんと最後は終わりにしましょう。さようなら」

 先に席を立った。

「うん。さようなら」

 歩き出すと、目の前をパーッと眩しい光が覆った。

 その光に、思わず、目を閉じた。



「?」

 気が付くと、目の前が暗い。

 顔を上げた。

 そこには初老の男性の顔があった。

 そうだ。

 確かここは喫茶店だった。

「ちゃんと終わりにできたようですね」

「はい」

 気分がすっきりしていた。
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