ティールームの不思議な出来事
「ここは、いったい・・・」

「ここは、ただの喫茶店ですよ。無料でおいしい紅茶を飲める。ね?」

 ニッコリと微笑むその姿に、それ以上は聞けなかった。

 きっと、聞く必要はないのかもしれない。

 そう、自分がここで経験したこと、それこそが真実なのかもしれないから。


「おや、雨が止んだようですね」

 いつの間にか上げられていたブラインドから星空が覗いていた。

「ごちそうさまでした」

「お気を付けて」

「ありがとう」

 振り返ると、マスターが微笑みながら見送ってくれていた。



 数日後、休みの日に喫茶店があった場所にいってみたが、見つからなかった。

 でも、きっと何処かに存在している。

 今日も新たなお客さんを迎えて。


< 13 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop