ティールームの不思議な出来事
 目の前の景色が切り替わる。

 遊園地の観覧車。

(これは初デートの遊園地だ)

 どこに行きたいかと聞かれて、遊園地と答えた。

 夕暮れ時の観覧車からは、綺麗な夕焼けが見えた。

 彼が隣に座り、一緒に夕焼けを見ていた。

「オレ、この前の花見で君に初めて会ったときから、好きだったんた。また、こうして会ってもらえるかな?」

「はい」

「やったー」

 彼はギュッと抱きしめてきた。

 暖かい腕と彼の体温。

 放された腕に、彼の顔を見上げた。

 キスの予感にそっと目を閉じた。

 優しいキスとともに、再び抱きしめられた。



 また景色が切り替わった。

 雨が降っている。

 待ち合わせの駅前。

 待ち合わせ時間まではまたある。

 不意に携帯電話の着信音が鳴った。

「もしもし?」

「あっ、オレだけれど、今どこ?」

「駅前にもういるよ」
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