ハチミツとレモンサイダー



あぁ、こんな暗闇じゃ……どこにいるのかなんて自分でも分からない。


この叫びは……薫になんて聞こえない。


好きの言葉は届かずに褪せてしまう。


あぁ、また……想いが命を絶つ。

言葉は……砂のように零れて消え失せる。




い や だ


い か な い で


こ こ ろ が い た い






「っい、やだ!!」




……



……



……あり?


ここ……どこだっけ?




「まだ始まって5分も経たないうちに授業が嫌になったのかー?
こーくーぼー」




起床後、バッチリ目があったのは……





「あ、あははは……。
何が嫌なんでしょうねぇ、ははは……」




数学の先生……。


やべぃぃ!

寝ちゃってた……



然り気無く杏華の方を見たら、あちゃーって顔してた。


あれ、休み時間起こし忘れてたーごめんの顔だな。



結局あたしはクラスの笑い者にされて授業中何度も嫌味のように当てられた。

数学大の苦手なのにぃ……ううう……。


……厄日かな、今日。






「やべー、さすが持ってるもんはちがうなぁー?」


「……もうっ、だから薫には言わないでって言ったじゃんんん……杏華ぁー……」


「ふふふ。
ごめんごめんっ」





ムカついたから一発薫を殴ることにした。


名案だ。
スッキリしたぁー。

今日のあたしやっぱ冴えてるわ。



と、また一口おかずをパクリ。


大好きなしょっぱい卵焼きが口の中に広がる。

< 10 / 19 >

この作品をシェア

pagetop