愛し愛されて天才は生まれるんだよ
神さまは連れて行く。気に入った才能を、20歳になる前に。その言葉のとおり、岬の最大のライバルだった千春は高校3年生で忽然と姿を消してしまった。神童とまで呼ばれた、嵐のようなピアノを奏でる奴だった。
神さまは気に入った才能を連れて行く。
岬は選ばれなかった。
きっと才能がなかった。
けれど、彼女は愛された。
だから、これからどこにだっていける。
いつものことながら、作者さまの圧倒的な世界観に心を打たれてしまいました。岬は千春が不完全燃焼のまま消えてしまったことで、彼のピアノを目指して生き続けていくのでしょう。それはきっと、神さまが天才をつくるべくして道を見せたのだと、そう感じました。愛とはきっと単純なことなのです。
神さまは誰か? 天才とは何か?
何度も読みたくなる傑作です。(わたしは計5回ほど再読してしまいました)是非ご一読ください。